パリに住んでいた頃、「クスクス」という料理は私にとってとても身近な料理でした。働いていたカフェで、クスクスという文字がメニューカードに並ぶと、ほとんどのお客さんがクスクスを注文していました。寒い季節がやってくると、家でもクスクスを作り、友人宅でもクスクスを作り、みんなに振る舞ったものです。パリに住んでいる頃から書き続けている「Elle Online」のブログでも、クスクスに関する記事はたくさんあります。
私にとって「クスクス」とは「フランスごはん」であり、とても身近な食事でした。そしてこのクスクスを作るのに欠かせないのが「ラス・エル・ハヌート」と言うミックススパイスです。
日本に完全帰国する時に持って帰るフランス食材の一つとしても、このラス・エル・ハヌートは荷物に入れました(確か、3瓶は買って帰ったと思います)。2012年から始めたアトリエの第2回目のメニューにも「クスクス」を選んでいます。日本でもあの味を食べ続けたい、そしてたくさんの人に紹介したい、との思いからでした。
当たり前のようですが、さまざまなスパイスをミックスするのですから、調合する人によってスパイス自体の種類やその割合が異なります。私がフランスで買っていたものと日本で何度か調達したラス・エル・ハヌートを同じレシピで作っても同じ仕上がりにはなりません。そして今回、FUJII LABELが輸入したJMギルボーさんのラス・エル・ハヌートも、原材料と配分がまったく違います。それぞれのラス・エル・ハヌートにあったレシピが存在する、というわけです。
フランス食材の輸入の仕事を始める前から、いつか「ラス・エル・ハヌート」を日本に輸入したい!っと言う気持ちはとても強く、今回ジャン=マリー・ギルボーさんとの出会いが、私の食生活に欠かせないこのスパイスを日本に輸入するという可能性を一気に広げてくれました。私にとって、このJMギルボーさんのラス・エル・ハヌートは、あの「フランスごはん」の味を完璧に再現してくれたのです。
FUJII LABEL代表 藤井綾